深澤直人 x タナカ ノリユキ スペシャルトークショー photo
:はい、ありがとうございました。よろしいですか。では、残念ですが、そろそろお時間が来てしまいました。
最後に、また携帯電話にお話を戻しますけれども、わたしからお二人に質問をさせていただきたいと思います。携帯電話の機能、この感覚、モノとしていろいろメッセージを発し続ける、それはわたしたちの生活の中にもう溶け込み過ぎるぐらい溶け込んでいるんですが、今後、携帯が発するもの、あるいはそれが変えていく感覚的なもの、文化的なもの、社会全体の人と人のコミュニケーション全般そうですが、どんなふうになっていって欲しいか、あるいはなるだろうと予想されますか。こうなって欲しいというものでも結構ですし、こうしていきたいなと、ひそかに考えていらっしゃることがもしあれば。

深澤:んー、難しいですけどね。やっぱり弊害も多いと思うんですよ。僕らが追い切れてないような特殊なコミュニケーションというのがすでに表れてきていますし。そういうものがこれだけカルチャーを変えてしまうようなことが起きた時には、その分だけ、その倍の負も持っていると思うんです。それをどう自分たちが処理していくか、いいことだけを残していくかということをやらなきゃいけないんだけど、それって本当に哲学的に何か正しいかを考える判断基準を自分たちが持つみたいなことだと思います。だから、いい悪いっていうのはなかなか難しいと思うんです。
ただ、コミュニケーションを簡単にでき過ぎるからこそ、もっと別のものを発達させればいいと思うんです。こういうものが生まれたからこそ、その分時間ができるとか、いろんなところに行けるとか。簡単に産業でできないようなことが自分の生活の中に手に入るっていうようなことを常に加重をもう一つのバランスを持てばいいと思うんですけどね。こういうものはもうどんどん発達するしかないんですよ。本当に。誰が言わなくても絶対発達します。これはまだで、もっともっと全然すごいものになってきます。それは僕らは止められないんですよ。

:でも、やっぱり人間の脳だからこそ考えることができる何か、ケータイプラスの・・・。

深澤:ケータイというよりは、一番危険なのは、すべての電子機器を通って生活をしているんで、自分がどこに居るかとか、ここに足跡を残したとかっていうことは全部分かる時代になっちゃっているんですよね。

:そうですね。

深澤:そのネットから抜けられないと思ったときに結構苦しいと思うんです。その抜け道を誰かが考えてあげないと、自分でセキュリティーどうのこうのという問題ではなくなって、ETCを通ったらどうとか、Suica通ったらどうとかっていうことは、全部実は記録されているんですよ。記録はたどれば絶対に全部のレコードが出ちゃう時代なんで、それをふと考えたときに行き詰まる。だからそれを捨てなきゃいけないんです。クレジットカードを使わないで現金で払うとかいうことをやっていくと、結構フレッシュだったりするかもしれない。そういうことはあるかも知れないですね。ネガティブになっちゃいけないので、あんまりこういうことを言えませんが(笑)。

:(笑)。

タナカ:でも、深澤さんと話すとどんどんそういう話になるんですよね(笑)。僕らもやっぱり、そういう時代になっていったときに、たぶん今の話のように、見えないものにどんどん管理されていくようになるっていう。あとはコミュニケーション自体がある記号化としての処理みたいになってきて。あるスケールで見たりとか、その場で見たりとか、あるモノに触ってみたりとかっていうことがどんどん少なくなっていて。なんとなく記号として、情報として分かったみたいなこともあるだろうし。
だからといって、また管理の話でいうと、こういうことってすごくそういうところに象徴されているものだと思うんです。それのプラスαとか、プラスマイナスのあいだみたいなかたちとか、そういうことがもっともっと広がってくるといいなと思うんです。これがすべてを解決してくれるということではなくて、ポジティブなものもあるし、ネガティブなものもあって、そのあいだで、自分がどういう形で自分の生活や感覚をどうするか。そういうことがどんどん試して分かってくるというかね。
便利になるっていうことよりは、逆に、さっき言ったみたいに、クレジットカードを捨てたときのほうがなんかいいことがあるかもしれないというね。そういうことも含めての話です。やっぱり写真は化け学のアナログじゃなきゃ撮らなくなるとかね(笑)。それこそ、レコード盤がなくならなかったみたいなこともありますしね。

深澤:今回の音楽もそうですよね。

タナカ:ね。

:そうですね。きっと先に進みっぱなしということはないんでしょうね。どこかでちょっと戻ったり、寄り道したり。

深澤:でも人間の機能としては、体がバランスを取ろうとしますから。暴走し気味になるんだけど、必ず負で戻ってきますから。そこ自体をあんまりシリアスに心配しないほうがいいとは思いますけれどね。

:ええ、そうですね。時間があればいくらでもお伺いしたいところなんですが、本当に今日は楽しい面白いお話をありがとうございました。


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