深澤直人 x タナカ ノリユキ スペシャルトークショー photo
:目立ちすぎてはいけないけれど、でもやっぱり目立って……

深澤:その人が持っていることで、その人が目立つというか、引き立つみたいなことのほうが全然作り上げた価値が出てくる。

:でも、美しさもなくてはいけないし、美しすぎてもいけない。

深澤:だって、それを選んでくれた人っていうのは、それなりのセンスとか非常にデリケートなところまでくみ上げて自分の生活に入れようと決めたわけだから、そこに協力しなきゃいけないっていうのが、僕ら側の立場であって。ただモノを作って、かっこいいガジェットでどうだっていうものとは違うと思う。

タナカ:だから、スタイルを押し付けるっていうわけじゃないんですよね。

深澤:そう思いますよ。

タナカ:だからそこがケータイの難しいところでもあって。完全にモノとして無くなってコミュニケーションするみたいに、じゃあみんながチップを埋め込んでそれでいいんじゃないかっていうこともあるんだろうけど(笑)。
これを持っている喜びとか、身に付ける喜びみたいなことがある。かといって、スタイルを押し付けてやっていくと、やっぱりダメなんですよね。そういう意味では、これを選んだ人がすべて選んで、その人らしくなっていくというね。

深澤:想像しにくいユーザーっているじゃないですか。例えば自分のお父さん、おじいさんとか。ここにいる人たちはみんな若いけれど、このケータイを自分のおじいさんやお父さんにプレゼントしようみたいな感じのところに、新しいのが生まれるんですよ。持たせてあげようっていうときに、もちろん機能がすごいっていうのもあるんだけど、なんか急に生活が引き立っちゃうんです。自分はもちろん感度が高いからそれを持てばファッショナブルになるっていうことは分かっているのでそのコアにいるわけだけど。そうでない、そこから飛び出した人がこういうものを持っていたときに「あれ、いいね」みたいな感じを作れなきゃいけないと思う。そっちでハマるということはとても難しいことです。

:なるほどね。 今日はせっかくの機会ですので、会場にお集まりの皆さんからもぜひ聞いてみたいということがありましたら、ここでお伺いしたいと思うんですけれども。皆さん、何かこれはというご質問がある方、いらっしゃいますか。はい、後ろの方。マイクをお願いします。

深澤:後ろで立って見ていただいてありがとうございます。ちょっと闘牛場みたいな感じですけれど(笑)。

タナカ:コロシアム(笑)。

質問者1:どうも、大変面白いお話をありがとうございました。
僕はヒューマンインターフェースを研究している者なんですが、ケータイのデザインといったとき、今、深澤さんがいわれている部分で、外装のデザインという部分が大きいと思うんです。中のソフトであったり、その使い勝手であったり、そういう部分のデザインに関してどういうふうにお考えになって作られているか、お聞きできればと思います。

深澤:サクラで質問してくれたみたいに、いい質問ですね(笑)。中のインターフェースを全部やったんです。ちょっと見ていただくと分かるんですけれど、最初のメニュー画面というところにものすごく、これは有機ELというものを使っているんですけれど、とんでもない高精細なんですね。右に行って下に行くと、PCサイトビュアーというのが出てくるんですけれど、そこに仮設のスクリーンがあって、横が5ミリで縦が3ミリぐらいの画面が写るんですけれど、その中の画面が全部動くようになっているんです。
携帯電話って、余計なアイコンを作り過ぎちゃって、それで盛り上がり過ぎて全然使いにくくなっちゃったんだけど、それをそぎ落として、普通の昔の黒白のアイコンにしてしまったんですね。それを選択したときに、例えば、こうやっていくと――ここじゃ見えないですね――動きが期待通りに表れてくる。情報をゲットしたときに、そこに動きを持ってさらに詳しく分からせるということをやっているんです。だから、これはインタラクションとしても結構、面白い試みをやっていまして。ちょっと見ていただけると、メニュー画面とか特にかなり思い切ってやりましたから。
これからは今おっしゃるように、インターフェースの時代なんで、たぶん形うんぬんをいう時代はこれでもう最後ではないかなと思いますけどね。

質問者1:ありがとうございました。


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