深澤直人 x タナカ ノリユキ スペシャルトークショー photo
:生理的にこうだなと自分の受けた感じをいろいろな音とか空間とか、そういうもので総合的に表現を作っていくということなんですか?

タナカ:そうね。だから、さっきユニクロの話も出ていたんだけど、最初にやったときに、実際に録音してそのまま撮ったらその音があったんで、それを少しテレビ用に聞こえるために増幅したわけですよ。でも、テレビについて言うと、音楽ということが決まり事になるから、いきなり音が無くてゴーッというエアの音だけだと、結構びっくりするんです。でも、そういうことをやりたいって言うと、やっぱり最初は止められるんですよね。音楽がないともたないってね。ナレーションがないと不安なんで企画が通りませんとか(笑)。

深澤:(笑)。

タナカ:プロデューサーに止められたりするんだけど、いや、なんでいけないのっていう話のところから入っていくみたいなね。そういうことをやっていくと、人がボソボソとしゃべっていることと、例えば、どこか神の声のようにナレーションとしてナレーターが言っていることとが音楽とどんどん一体化していくというか。
もうちょっというと、昔、ケンイシイっていうミュージシャンと一緒にアジアツアーに行ってこうやって対談したときに、ちょうどMTVかなんかの対談で、海外の公園のカフェみたいなところで対談してて、鳥の声とか聞こえるんですけど、後ろで工事現場の音も聞こえたり、車の音とかが聞こえるんですよ。そうすると、彼が「あぁ、いいミックスだな、ここは」って言ったんですよ。

深澤:(笑)。

タナカ:そういう感じなんですね。ミュージシャンによっては音楽っていうことが音とか言葉とか状況音とかが一体化して感じている人がいる。いつも見ている人は結構見てる。僕なんかは単なる野っぱらの気持ちいいカフェって思っていただけなんだけど、音をやっている人から見るといいミックスの音だなってなる。そういうのに近いですね。映像やっていると、そういうところってある。映像がこうだというかたちよりは、そこらへん全部を空気のように考えながら、時間や光や音をどういうかたちにもっていくか。あとは、深澤さんとたぶん共通しているんですけど、なんでこれやっちゃいけないのっていうことはちょっとあるかもしれない(笑)。

深澤:(笑)。

:こういうものはこうあるべきみたいな概念があって。それから外れることの怖さみたいなものも、作る側にはあると思うんですけれど、そういうものがない?

深澤:そうそう。結構こういうものを開発するプロセスって、相手がどういうふうにして欲しいんだみたいなことを考えすぎて、なかなかそれを自分でブレイクスルーできなかったりするんですよね。よくよく見てみると、誰もそんなの反対してないのにっていうのがあったりするんです。ダイヤルのボリュームを回し気味に行かないと、なんでせっかくお願いしたのにそんなもんなんですかみたいに逆に言われてしまうこともあるんです。期待値がありそうで、実はそれが見えているのは自分だけなんで、結構頑張って回していくというか、これで決めてくぞっていうふうにならないと、新しくなっていかないんですよ。そこがとても難しいところです。

:貫き通す。

深澤:貫き通すっていうか、ラーメン屋が、ハイうまいっすよと言って出してくれるラーメンがうまいみたいなもので。ちょっと分かんないけどって言って出されたラーメンはまずく感じるということがあって。結構、出す側っていうのはそれなりに自分で確信していないとぶれるんですよ。ものづくりって、自信なさげだなっていうものも世の中に結構並んでいるんですよね。

:見たら分かるわけですね。

深澤:お店でそういう見方で見てみると、これ自信持ってるね、これはそうじゃないねって、これは自信持ちすぎて失敗しているねとか(笑)、いろいろ分かるようになってくるわけです。

:ああ、なるほどね。


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