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森本(美):携帯がなかったころって、例えば電車に乗るとそれこそ外の夕日とかそういうのを見ていたりとかしていたんだけど、携帯を持つようになったらずっとメールとかして外を見なくなっちゃって、雨が降っているとかが分からなくなっているというのがやっぱりすごく嫌で、なるべく電車に乗っているときとかは携帯はもう絶対に出さないとかするようにしている。
森本(千):なるほど。じゃあ空は近い?
森本(美):空は近いね。
坂本:そのことを事務所で話し合いましたよね。
森本(千):うん、話し合った。
坂本:auの会社の方とかも事務所にいらして。
森本(千):エイチプロジェクトの人とか、あとコピーライターの今回の「ケータイがケータイし忘れたもの展」という言葉を書き上げてくれた福部さんとかと一緒に、何を忘れているのかディスカッションを。
坂本:そうだ。ディスカッションが深夜に行われて、結構プライベートだとか……。
森本(千):つながらないほうがいいときがあるというか、
坂本:そうですよね。でも、やっぱりその時間に相手のことを想像したりとか、よく言われますけど、イエデンしかなかったときは、夜あの人は何をしているのかなと想像で我慢みたいな。
森本(千):今こういう携帯を考えていて、これだったらその人の住んでいる位置に設定して、その人の空を見ていたら紛れるんじゃないかということとかをセールストークした覚えがある。この携帯を考えているときに。
坂本:そうそう、そうなのよ。結局何を携帯し忘れていたのか分からないですけど、携帯を持ち始めたときからよくフォトメールでいろいろな人に空を送ったりしていて、それは何でだろう、やっぱりすごく月がきれいとかだったら同じふうに見えているかなと分かち合いたくなるから、この携帯はその感じそのものじゃないですか。だから使いたいなというか。みなさんも空の写真とかをよく送りませんか。送らないかな。
森本(千):わたしもおととい「神の手」という雲の二つの手がグーッと空をつかんでいるように見える空の写真をもらって、もう今ここで流れている映像に反映しておきました。
森本(千):リアルでした。
坂本:生だった。
森本(千):すごいリアルでした。音楽をつくっていただいた高木正勝さんに『sorato』の話をしたときに、「このプロジェクトの中で大切にするのはリアルとファンジーのどちらですか」という質問をされて、もうすごいいい質問だなと思って。
プロダクトデザインというとすごくリアルじゃないですか。だけど、そこに今目の前にあるものが急に呼吸をしているように感じるとか、このものがここにあると急にとても落ち着くとか、今手に持っている携帯電話ももしかしたらただ電話をするだけのものじゃないというか、そういうファンタジーが起こってもいいんじゃないかなと。そういうファンタジーが生活の中にあってそれがリアルになっていくというか。
森本(美):本当にこれがまだコンセプトモデルで、これからも進んでいくかも知れないということでいうと、やっぱり普通写真の仕事だと撮ったところで終わって、こういうのが終わってなくてまだ続いて、まだ関係が持てるというのはすごいやっぱり面白いしいいなと思いました。
坂本:生で旅に出て、わたしは別の場所に旅行していて、「ラララ」と声を取りながら、どんどんそれをメールで高木さんに送って、映像とか写真がまたどんどんそのサーバーにアップされていって、今ネットがあるからいろいろなそういうことができましたけど、本当にこういうリアルタイムで進んでいく制作過程というのはないと思いますね。
千絵ちゃんと美絵さんとわたしの三人が代表のような形でここに来ていますが、いっぱいいろいろな人が、そういう方々とも、縁でつながったということを本当にちゃんと意識した。ただ単に本当に大切な人とものが作れてうれしいというだけじゃなくて、こういうことを求めていたし、これからもやっていくし、そのために自分の声がもしかしたら役に立つのかもしれないということですごく救われた、ずっと救われていた日々でした。
森本(千):本当にわたしも携帯電話について、普段あまりにも便利過ぎてずっと持ち歩いているものだから、意識してあげなかったというか、そこで意識したことによって新しいデザインと映像と、新しい人間関係が急に生まれてきたということでびっくりしています。
※この原稿は、「森本千絵さん、森本美絵さん、坂本美雨さんの3人のトークショー」と「森本千絵さん、森本美絵さんの2人のトークショー」を再編集したものです。