森本千絵 x 坂本美雨 x 森本美絵スペシャルトークショー photo
でも、そんなのはやっぱりものすごく恥ずかしいわけです。わたしはすごく崇高な音楽を目指さなくちゃいけないみたいな固定観念があって、その途中の段階のものを人に見せるとかがどうしてもできなくて。だけどじゃあ自分は何を持っているかといったらこの声しか持ってないのに何を格好つけているんだと。そういう勇気を高木さんがくれて「普通に話している声でいいから取って」と。そう言われてこれを持って歩き始めた途端に毎日が楽しい、どんどんどんどん開放されて、精神のセラピーというかカウンセリングを受けたみたいな気持ちになって、それをどんどんウェブにアップすると、高木さんがそこからイマジネーションを膨らませて、音楽にしてそれが返ってくるんです。

森本(千):写真については、パッとこの空を感じたときに、すごく女の子っぽい世界になり過ぎても嫌だけど、この感情を共有してくれるカメラマンがいいなと思って、それで美絵さんの写真を以前から見ていたときに、失礼な話、女性っぽくないというか、女性の感性でものを発見しているんだけど、そのシャッターを切るときは男なんですよ。

森本(美):本当にその通りだと思います。そんなに感情メインで撮っているわけではないので、男か女かと言われたら、男ですね。

森本(千):美絵さんとはまず空の携帯で何を一緒にできるかということじゃなくて、一度お話ししてみようと思って、いきなりわたしの事務所に来ていただいて空の話をし始めたんですよ。そのとき、美絵さんが個人的なマル秘映像のDVDを持ってきてくれて、自分でパッと見つけた空だったりとか、電車の中から見る流れる景色越しの空だったりとか、ワーッといろいろなものが、その場その場で撮っているものが感情的につないであるんですね、自分の気持ちに合う音につなげて。それがすごく生きているような、刻々と今だけを描いているような映像の編集になっていて、この感じは面白いんじゃないかなと思って相談したんですよね。
会ったのが展示の1カ月ぐらい前なんですけれども、展示会が始まるまでの空をリアルタイムでドキュメントで描いていかないかという提案を。

森本(美):最初に電話があったときには「森本さん、携帯を撮ってほしいんですよね」と言われて。携帯を物撮りで。「千絵さん。じゃあ行きます」みたいな感じで、そのときにはこうなるとは全然決まっていなくて、打ち合わせをして決めていったというのはすごく楽しかったですね。

森本(千):携帯を持ってアテのない旅に出ようといって、会社に日本地図を広げて、もう本当にダーツの矢で刺すような気持ちでいって、こっち(南)から雨が攻めているからこっち(北)から攻めようといって、上から行ったら上から雨が来たんですけど、予想が付かないことというのが面白くて。上に行ってどんどんずっと空だけを見て旅に出て、それで同時にネットに上げながら、坂本さんがそれを見ながら――どう言ったらいいんだ、どこから順番で話したらいいのか、

坂本:そうね。全部が同時進行で、いろいろなところでいろいろな人が旅をしながら、いろいろなことをやっていて。あるとき千絵ちゃんが急に美絵さんと旅に行ってくるよと。上から、北海道から攻めますというので。わたしは別の一人旅みたいな感じで京都に行く予定だったので、「じゃあ京都で会う?」とか言っていたら結局会えなくて。7月6日か7日ぐらいの夜にちょうど千絵チームは下ってきて、わたしは京都にいて、会えるかなと思ったらメールが来て「まだ一つも夕日が撮れていません。きれいな晴れた夕暮れが撮れていないので、仙台から東京が今晴れているらしいから東京に帰る」とか言って戻っちゃって。

森本(千):リアルタイムな空を映すのって、実際に撮ろうとしたらすごく大変で。常に雲とか違う形が描かれていて、それとプロダクトデザインというか・・・感情と空とそのプロダクトのはざまの旅にずっと1カ月ぐらい出ていたんですけど

坂本:でも、フォトメールをたまに送ってくれて、それがいろいろなところの海だったり空だったり、すごく気持ちよくて、あと列車の中で窓のところにてるてる坊主をつるしてあって、ムービーメールなんですけど、それをトイレットペーパーで作ったって(笑)。

森本(千):ティッシュがなかったの。(笑)

坂本:そういう旅を共有していた感じがしましたね、わたしも。どうだったんですか、旅は楽しかった?

森本(美):楽しかったし、大変だったね。

森本(千):まだ撮り続けて、まだ作っていて、何をやっているんだという感じですが、そもそもの話を言うと、最初に「sorato」の携帯のコンセプトを見たとき、その携帯自体に関してどう思った?

坂本:本当に千絵ちゃんらしいなと思ったし、その以前から個人的に千絵ちゃんとは親しくしているので、どういう思考回路でこうなったかというのがとても自然にわたしの中に入ってきて、千絵ちゃんが人とつながるツールを作るとしたらこうだろうな、と思った。ヒトカのほうは結構裏切られたけどね。


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