深澤直人インタビュー photo
コンセプトを考え始めてから約2年。やっと商品化できて嬉しく思っています。以前デザインしたINFOBARがかなりの注目を集めたこともあり、neonの開発には緊張感がありましたが、それなりにいいものができたのではないかと思っています。

何も無いところに、何かが起こる。その試みが新しかった。

neonはいわゆるカタチとしてのデザインではなくて、存在そのものをデザインする意味で取り組みました。まったく何も無いところに表示が出るという、通常のプロダクトでは有り得ない試みを盛り込んだ点は、neonの最も重要なポイントです。その振る舞いというか、見え方がネオンみたいだねということを開発のときに話していたことが、ネーミングの由来です。

LEDで表示される絵柄に関しては、全部で142種類。フレンドリーなパターンからメッセージ的なワード、あるいはアニメーションといったものが表示できます。音楽再生中用の表示や、ファンクションに連動したEZ・FM起動中の表示、時刻表示や日付、あるいは重要なアンテナ、バッテリーの残量も表示されます。電話がかかってきた相手の名前も表示されます。

めざしたのはパーフェクトな"シンプル"

デザイン的には、非常に高機能なスペックを搭載した上でこれ以上、そぎ落としたものはたぶんできないだろうというくらいの単純でハイデザインなプロダクトが実現できたことを、このうえなく嬉しく思っています。タイルのような普通の形なのに、十分に特別な、非常に大切なものになるというイメージがあります。ただ、単にストイックにそぎ落とした四角を作ったわけではなくて、「積み木のような」イメージでフレンドリーというか優しい形を作り込もうとしています。その最も重要な要因だったのが適度な丸みを持ったコーナーのアールとつややかな色です。

背面にカメラやスピーカーも内蔵した、フルスペックな機能を搭載していますが、よく見ていただくと、折りたたまれたフォルムをより美しく見せるためにヒンジを裏側に持ってきておりまして、またそれにより画面がPCのように垂直に立ち上がることを実現するなど、一般的な携帯の構成から若干違う顔を見せていると思います。

日常をモチーフにインターフェースをデザイン

つややかな色も非常に重要な1つのデザイン要素でした。水色は、工業製品で使っていることはあまりないのですが、LEDの表示色と、キー部分のブラウンと非常に調和をしています。また、白という非常にスタンダードな色は、生活の中のファッションとTPOに合わせられるように。黒も非常につややかでやさしく仕上がっています。角を落とした優しい形とのマッチングによって、3色合わせても非常に構成がきれいに見える心地よい色をセレクトしました。

画面デザインについては、「どこかで見たことのある感じ」をテーマに、日常の風景をクリップしました。ケータイを立ち上げるときの画面は、大きなオフィスの天井にだんだん光が点っていくようなイメージになっています。また壁紙にも東京の空といった、ごく普通の風景をはじめ、頭の中にある日常の残像を壁紙として用意してあります。そのほか、インターフェース関係のキャラクターとかグラフィック関係を全部見直しました。

また、携帯電話は家に帰って机の上に置いた瞬間から携帯しなくなるわけですが、そのときにもクロックとして使えるようにデザインしています。充電スタンド=置き時計と言ってもおかしくないと。さらに、ミュージックプレーヤとしてスピーカーにつなげることを想定したデザインでもあります。

使い勝手の面で言うと、本体を開きやすいような工夫、見た目には平らなのだけれど押したときの微妙な沈み方で、どこを操作しているのかがわかるようにしています。

新しいカルチャーが生まれるかもしれない

最後に、携帯電話を通じたコミュニケーションは、直接的に電話やeメールで成立しているのが現状です。それは端末が自分の身体に近い状態でのコミュニケーションと言えます。neonのLEDインターフェースは、距離があるところで相手にメッセージとして何かが伝えられる。といった新しいコミュニケーションのスタイルも提案しています。ひょっとすると何か新しいカルチャーが出来上がるかもしれない。それを予期した新しい感覚のインターフェースを提示できたのではないかと思っています。



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